「このワックスの原料は?」「どんな特徴があるのか知りたい」
そんなあなたにワックスの基礎から雑学までお届けする「ワックス辞典」。
第1回は、古くから人々の生活を支える「ミツロウ」について解説します。
ミツロウラップや手作りコスメの原料としてご存知の方も多いのではないでしょうか?
【原料】ハチがうみだす天然のワックス
ミツロウは、「ミツバチの巣」を原料とした天然由来のワックスです。
ハニカム構造で有名なミツバチの巣は主に蝋(ろう)で構成されており、この蝋は働きバチが花の蜜を材料に腹部の蝋腺(ろうせん)という器官で分泌しています。ハチミツと同様、ミツロウも養蜂地域の花の種類により色調や芳香が異なります。
英語では「Beeswax(ビーズワックス)」と呼ばれ、ミイラの保存や修道院のキャンドルに使用されるなど非常に長い歴史を持つワックスです。
「蝋」が虫偏なのは……
「蝋」という漢字が虫偏なのは、ミツバチがミツロウを作ることに由来しています。ハチミツだけでなく蝋まで作りせるなんて働きバチさん……働きすぎです。
【製造工程】ミツロウができるまで
ミツバチの巣からミツロウを取り出す方法は、湯せんでの比重による分離が一般的です。
①採蜜後の巣を水とともに窯に入れ、加熱する
②比重の軽いロウ分が浮上し、不純物は沈殿する
③浮いたロウ分を精製する
④冷やして固める
③の精製を何度も行うことで、より純度の高いミツロウとなります。
「サラシミツロウ」って?
「サラシミツロウ」は「漂白をしたミツロウ」のことです。昔は天日干しにより漂白を行っていたことから、「天日に晒(さら)したミツロウ=サラシミツロウ」と呼ばれます。白色のため、ミツロウの色が商品に影響しにくいというメリットがあります。
【特徴】安全・便利で環境に優しい
1)安全性が高く、用途が幅広い
ミツロウは天然由来で安全性が高く、工業品から化粧品、食品、医薬品までさまざまな分野で使用されています。
▼代表的な用途
工業品原料 木工製品や革製品の艶出し用クリーム
クレヨンや色鉛筆などの文房具
化粧品原料 口紅やクリームなど
食品添加物 艶出しコーティングや離型油
医薬品原料 止血剤・軟膏・薬のソフトカプセル
他にも、すすの出にくい「ミツロウキャンドル」や子どもが口にしても安全な「ミツロウクレヨン」はミツロウの特徴を活かした代表的な製品です。
2)環境に優しい
ミツロウは歴史の古いメジャーなワックスですが、近年ではSDGsや環境配慮の観点から注目度が高まっています。
その理由は、「原料」にあります。ミツロウはハチミツなどを採蜜し終わった後の蜂の巣から副産物的に入手できるもので、養蜂に必要な巣礎の素材としても活用されています。このようにミツロウをもたらす養蜂の過程はリターナブルで生産性が高く、無駄がありません。
加えて用途としても、布をミツロウでコーティングしたエコ商品「ミツロウラップ」の原料としてご採用いただくケースが急増しています。ミツロウを一言で表すなら、まさに「古くて新しい」ではないでしょうか。
加藤洋行のミツロウ
1)自社オリジナル製品だから特別なオーダーにも対応
当社では、さまざまな産地のミツロウを自社工場にて混ぜ合わせて精製し、ペレット状に成型したオリジナル製品を販売しています。
さらに、各種ご要望にあわせた特別なミツロウも製造可能です。
▼ご要望例
「特定の産地だけのミツロウが欲しい」
「色味を指定したい」
安定供給・安全性に加え、「産地・色味」にこだわった化粧品原料をお探しの方には、特におすすめです。
「化粧品原料」に加藤洋行のミツロウがおすすめの理由
安定供給 :さまざまな産地のミツロウを自社工場で精製。
安全性 :専用建屋にて保管。
産地・色味:特定の産地や色味を指定可能。ガードナー色数に対応。
また、世界一空気と水が美しいタスマニア島だけで咲く花からできる稀少なミツロウなど豊富なラインナップがございますので、お気軽にご相談下さい。
2)各種認証・規格に対応
製品バリエーションは色相や精製度合いごとに、「ミツロウFP」「ミツロウFPT」「国産ミツロウ」「サラシミツロウ」などがございます。
各製品は以下認証・規格に適合しているため、安心してお使いいただけます。
▼認証・規格
・COSMOS認証(オーガニック化粧品認証)
・食品添加物公定書
・医薬部外品原料規格
・日本薬局方
3)専用建屋での徹底した品質管理
ミツロウの製造・管理は、専用建屋である「ミツロウ棟」にて行っています。他製品と別建屋で管理することで、コンタミネーションの防止に取り組んでいます。ミツロウ棟について詳しくは以下の記事でご紹介しております。ぜひご覧ください。
以上、新シリーズ「ワックス辞典」でした。ミツロウの特徴や魅力は伝わりましたでしょうか?
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